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第1章 新しい施設運営の視点過性で終わらない。忙しい中でも時間をつくり繰り返して行う(継続性)。
どうもこれまでのボランティア活動は、「しなければならない」という義務感が強く、「おもしろくて楽しい」という遊び感覚が弱かった。
私の考えるボランティア活動は、遊びと重なるところが多い。ボランティア活動と道徳の授業は重なる面が多いが、この遊び感覚の面で決定的に異なる。ボランティア活動を遊び感覚で捉えると、その活動は特別なものでなく(タテマエでなく)、普段着のままできる。
普段着でなく裃を着て行う活動は一過性に終わる。これまでの学校教育は子どもに裃を着せていたがために、卒業と同時に脱ぎ去られていた。裃を着ない「当たり前」としてのボランティアの考えが欲しい。当たり前で普段着のままできるから、その活動は「いつでも」「どこでも」「誰でも」できる。まさに自主性にとんだ生涯学習である。
青少年施設は、これまでこうした「おもしろくて楽しい」遊び感覚を許容した運営をしてきただろうか。答えは否だろう。施設で「おもしろくて楽しい」活動ができると、青年は普段着のまま参加するし、その活動は継続する。そして、その活動が少しでも社会に貢献できていると充足感が生まれる。
2)ユニークなボランティア活動の事業を考える
「おもしろくて楽しい」活動は、ユニークでなくてはつまらない。どこでもやっている活動は青年は好まない。「ここしかない」「ここでしかできない」活動を求めている。
そのためには、ここでも発想の転換が求められる。「あぶない」「前例がない」「責任がもてない」「お金がない」「担当者がいない」とかで、活動の幅をせばめてはいないだろうか。こうした問題をつぶしてはじめてユニークな活動ができる。
例えば、ボランティア活動といえば種類が固定化されている。青少年にとって「人のために役立つ」ことは、赤い羽根や歳末助け合いなどの「募金」活動か、「ベルマーク集め」というイメージが強い。
活動の種類のイメージが固定されているので、おのずと場所も固定される。子どもにとって、活動の場所は学校か、街頭という限定されたものになる。今やそうした固定観念を打破しなければならない。
以下固定観念を破ったユニークなボランティア活動の事例を二つ紹介する。
?@中学生が考えた「出前」ボランティア活動
平成5年12月4日付けの中日新聞に載った「中学生ボランティア隊」の記事がある。これは愛知県の半田市立乙川中学2年生が、大人中心で進められてきた地域の奉仕活動を手伝おうと、ボランティア隊を結成し活動に乗り出した、というものである。
これだけでは、さほど目新しいことではない。このクラスのユニークさは、ボランティア活動の仕事を「注文に応じる」としたことである。そして、仕事募集のちらしを900枚印刷し、回覧板を使って通学区内の全世帯に配布している。
一時期「便利屋」という仕事が流行ったが、生徒たちはこの発想を借りてボランティア活動に生かしている。
このクラスは、どんな仕事でも引き受けるわけではない。次のような仕事は引き受けないというルールを決めている。
?@危険な仕事?A一人だけでやる仕事

 

 

 

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